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記者「今日はよろしくお願いします」
A「よろしくお願いします」

新ドキュメンタリー「スーパーブラック企業の真実」のTV局の取材を引き受けたAさん、3年勤務したスーパーブラック企業を辞め現在は知人宅に住んでいるという

記者「その傷はなんですか...?」
A「本当に色々なことがありましてね、話すと長くなるのですが...」

Aさんは記者に対して詳細に過去の出来事を語った、話をまとめるとこうだ
上司の出した損害を被らされ、他のパワハラ上司の集中砲火をくらうことになり、自宅はブルドーザーで破壊され、逃げ遅れた妻子は現在も重傷で入院しているという
体の傷については、"厳の掟 (きびしのおきて)"という社内ルールに基づいた日々の激しい暴力によるものだと語った、社内では法律よりもそれが優先視され、人権という概念はないのだそうだ

記者「本当にそのような会社が存在しているのですか?」
A「ええ、存在しています、労働基準法など守らないのは当然のことで、重犯罪が社内では日常化していました」
記者「それはその、厳の掟、というものによるものですね?」
A「多くはそうです、社員たちにとって聖書のようなものですから...」
記者「聖書...そうですか、それは創業者が社内規定として定めたものですね?」
A「そうだと思います、私は学び人の会でそう習いました」
記者「はい、その、"学び人の会"というのはどのような組織なのでしょうか?」
A「勤続20年目までの社員は強制的に週4回集まり、その会に参加する義務がありました、創業者一族についての歴史・彼らの理想とする社会についての勉強会が連日遅くまで続いていました」
記者「Aさんの当時のスケジュールはどのようなものでしたか?」

Aさんは詳細に当時の生活を記したメモを記者に渡した

週休ゼロ、年間休日ゼロ
4:00-4:10 a.m. 朝礼
4:20-5:00 a.m. 社内清掃・近隣の清掃
5:00-0:00 p.m. 仕事
0:00-0:30 p.m. 昼休憩、反省会
0:30-11:00 p.m. 仕事
11:00 p.m.- 11:30 p.m. 反省会
11:30 p.m.- 飲み会

記者「社内のハラスメントについてお聞きしたいのですが、詳しく教えていただけませんでしょうか」
A「全寮制でありましたし、ハラスメントとして世間に悪評が出回ることはありませんでしたし、激しい暴行も決してハラスメントとしては認識されていない状況でした」
記者「暴行というのは、どのようなものがありましたか、具体的にお願いします」
A「よく上司が怒号をあげながら部下に対して椅子で頭を殴ったり、熱湯をかけたりということはありました」
記者「ショッキングな現状があったわけですね...現在はAさんは何をされていますか?」
A「インターネットメディアなどを通じて世間に真実を発信している」

そう言いながらPC画面を見せた、電子掲示板のスレッドタイトルだ、"スーパーブラック企業に入社してみた結果...」とある

記者「今日は快く取材を引き受けていただき、ありがとうございました」
A「ええ、こちらこそ」

番組が放送された翌日、大きな反響を呼んだ今回のドキュメンタリーはゴールデンタイムへと移ることとなったが、制作に携わったスタッフらはものの一週間のうちに全員忽然と姿を消している
一説によると、匿名で取材を受けたAさんに仕掛けられていた体内GPSから全員身元を割り出され尾行されていたのではないかとされている

ー END ー