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ある家族に、赤ん坊が生まれた
最初は、彼は乳を飲んでいるか、眠っているかのどちらかであったが、すぐに覚醒時間も増え、周りをキョロキョロとみていることが多くなった

「何を見てるのかしらねぇ」

彼のことが可愛くてたまらない母親が言った

「パパのことを見てるのか?いつもたかいたかいしてあげてるからなぁ、パパのことが大好きなんだ」

赤ん坊の誕生を誰よりも喜んでいる父親が言った

「ううん、わたしのこと見てるんだって」

すると、自慢げに女の子が言った

「だって、わたしお姉ちゃんだから、毎日歌を歌ってあげてるんだよ」
「僕だって遊んでるもん」

「見て」

母親がやさしくそう言い、赤ん坊を抱きあげた

「ボク、みんなが大好きだよーって」
「ぶう、ぶう」

赤ん坊は何かを言った

「ほらね、そう言った」

母親がそう言い笑うと、本当だねと他の3人も笑った

しかし本当のところは、赤ん坊の思惑は他にあった
最近、彼が懸命に見ているのは、自分が誕生したこの「世界」というものだった、生まれたからには、この「世界」で1番になってみせる、彼は赤ん坊にして偉大な志を持っていた
しかし、どうやらこの世界には様々な人間がいるらしい、その中で自分はどれくらいの立ち位置につけているだろうか、赤ん坊は考えた
この3人といると楽しい、いい気分だ、多分これから先も頭が上がらない
ということは彼らの下の僕は4位
1番になれるに越したことはないけども、世界4位ってのもなかなか凄いことなんだぞーーそう思いつつ、眠りについた赤ん坊であった

ー END ー