512-pictogram-illustration

死亡者の眠る棺の前では、ある1人の男が泣いていた
「兄貴、兄貴はまだこれからだったのに...」
すすり泣きが通夜の席に響いた
死んだ男の名は、ユニバーサル・ヨシダ、本名、吉田輝夫
55才で不運にも事故死し、今までは売れないコメディアンだった

彼が売れないわけは、持ちギャグがあまりにも意味不明でつまらないものだったからだ
そして彼にはほとんど人望がなく、コメエィアンとして貫いてきたのにも関わらず、通夜に来たのはたった1人の後輩だけで、その後輩の男も4年前にコメディアンをあきらめて、今はTVスタッフとして勤務している一般人だった

「兄貴は必ずTVに出る、そう言ってたのに...」
男はそう言う
「1度もTVに出られないままじゃ、あの世へにも行けないだろう...俺が出世したらどんどん兄貴にオファーを出すっていう話、どうなったんですか...」
その時、ポケットの携帯電話が鳴った
「はい」
男が電話に出ると、
「明日の小道具は見つかった?」
相手が質問した
男が「まだです」と言うと、相手は困り果てた
電話を終えた男は、
「...こんな時にも仕事かよ、もういらない、」
男は棺の中の白い顔にそう呟いた
「兄貴をTVで見るっていう夢、叶えられないならば、この仕事もやめてやる...」
その時だった
彼の中にある考えが出てきた、自分で自分に確かめるように、「やれる...これでやれるぞ」
男の手が震える、彼はヨシダに手を置き、こう言った
「兄貴、夢を叶えにいきましょう」

その翌日にスペシャル番組の生放送が行われ、お化け屋敷のコースをアイドルらが競争するという企画物で、めでたくユニバーサル・ヨシダはTVデビューした

しかし、一部の本当の死体だと気づいたTVスタッフ、視聴者から、彼が猛バッシングにあうことになる...

ー END ー