fish_wakasagi

「この前、みんなでワカサギを釣りに出かけたんだ」

昼休みにアキちゃんが思い出してそう言った

「いいね、楽しかった?」
「結構楽しかったよ、釣れたからさあ」
「えーすごい!どれくらい?」
「えっと、私だけで50匹ぐらい?」
「マジで、すごいじゃん!」
「美味しかった?天ぷらだよねぇ、ワカサギといえば」
「うんうん、天ぷら美味しかったー」
「えぇ、いいなぁそれ」

「エサは何をつけてるの?」

すると、嫌な顔をした由紀子が言った

「私も釣りに行かされたことあるんだけどね、あれって気持ち悪いエサ使うでしょ?ミミズとか、あれが苦手なんだよね...」

「あ、それは問題ないよ」

すると、アキちゃんはあっけらかんと笑い、こう言った

「ワカサギ釣りはカラバリっていう、何もつけない針で釣れるんだよ」
「エサつけずに釣るの?」
「そうだよ、一杯針のついてる糸を垂らすだけ」
「んじゃあ、エサはその辺にまくとかするの?」
「ううん、違う、何もせずに垂らすだけ」
「うそう、じゃあなんで針に食いつくの?」
「ワカサギ、死にに来てるじゃん」
「なんていうこと、おかしいじゃん、それ」

「...実は、そのワカサギ達の前世は釣り人だよ」

霊感の強いチカちゃんがそう言ったこともあり、周りの空気は一瞬にして凍り付いた
みんなの顔がみるみるうちに青ざめる

そう言われたアキちゃんは泣きながら、弁当を開いて「これをあげる」と、ワカサギの天ぷらを分けてくれた

「あ、ありがとう...」

私達はそれは少し躊躇しながらも食べ、チカちゃんの顔を伺った
彼女は何も言わなかったが、その口元にはミステリアスな微笑みがあった

ー END ー